岡部繁男教授

2025年3月14日、岡部繁男教授(東京大学副学長 (WPI-IRCN担当)、大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 神経細胞生物学分野 教授、IRCN連携研究者)が学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して表彰される日本学士院賞を受賞しました。

<研究題目>
可視化技術の開発による神経回路形成機構の研究

<授賞理由>
岡部繁男氏は、神経回路の発達メカニズムを解明するために、神経細胞内のタンパク質の動きや輸送を蛍光で標識されたタンパク質を用いて直接観察する技術を開発しました。開発された新しい可視化技術により、軸索と呼ばれる神経細胞が伸ばすきわめて長い突起と、神経回路における情報伝達の要となる構造であるシナプスの動的な変化が初めて明らかになりました。発達過程の軸索においては、細胞骨格の重合と脱重合が繰り返し起こり、突起の先端で新しい構造が付け加わることがその成長の基盤となることを示しました。また神経細胞同士が情報をやりとりするために必須の構造であるシナプスも動的な構造であり、形成と消失をくりかえすことで神経回路が成熟することを明らかにしました。さらにシナプスの分子構築を定量的に測定し、シナプス形成が細胞の種類により異なる機構により制御されること、脳疾患のモデル動物においてシナプスの形成過程の障害が存在することを示しました。

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