概要

2026年2月2日から4日にかけ、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)はシンガポールを訪問し、南洋理工大学 (NTU) の Early Mental Potential and Wellbeing Research Centre (EMPOWER)との共催で、第3回国際合同シンポジウムを開催しました。本シンポジウムは、令和7(2025)年度科学研究費助成事業「国際共同研究加速基金(国際先導研究)」として採択された “国際「社会脳」ネットワーク育成(No.25K24466)”のキックオフシンポジウムとして開催されました。

研究室訪問とシンポジウム

2月2日の午前中はEMPOWERのリトリートに参加し、午後にはNTUのメインキャンパスにある3つの研究施設を見学しました。Cognitive Neuroimaging Centre (CoNiC)では、3T MRI、MEG、fNIRS、EEG、TMSといった脳活動計測装置を見学し、認知神経科学研究から臨床応用までを支える最先端の研究体制について学びました。Visual Perception Labでは、まずHong Xu准教授と大学院生から研究室で行われている研究の説明を受け、その後研究に用いられているdriving simulation装置をIRCNの学生が体験しました。最後に、Robotic Research Centerにおいて、知能システム、ヒューマン・ロボット・インタラクション、生体模倣ロボティクスなど幅広い分野にわたるロボティクスの最先端研究について学びました。

2月3日には、NTUのLee Kong Chian School of Medicine (Novena キャンパス)のホールにてシンポジウムが開催されました。ホール前のホワイエでは、両大学の若手研究者によるポスターセッションが行われ、活発な議論が交わされました。

講演セッションでは、10名の研究者が最新の成果を共有しました。
Annabel Chen教授 (NTU) はバイリテラシーと電気刺激に関する研究を紹介し、異なる言語スクリプト間で情報処理メカニズムが異なることを示しました。渡部喬光教授 (IRCN) はエネルギーランドスケープという理論的枠組みを用いて、定型発達の脳、自閉スペクトラム症の成人の脳、そして人工知能における脳内状態の時間的変化についての研究成果を発表しました。Hong Xu准教授(NTU) は運転シミュレーション研究を発表し、行動および生理指標を組み合わせたマルチモーダル測定を通して、認知的負荷と道徳的判断との関連を示しました。大木研一教授 (IRCN) は霊長類の階層的神経回路に見られる信号処理およびノイズ処理の仕組みを取り入れることで、深層ニューラルネットワークの性能向上を目指す研究を紹介しました。Aditya Nair 教授(NTU) は攻撃性を連続的な内的状態として捉え、その神経生物学的基盤について議論しました。Ziwei Liu 准教授(NTU) は自己中心的視点からの人工知能の発展について論じ、研究および日常生活の双方における幅広い応用可能性を紹介しました。牧野浩史教授 (慶應義塾大学)は動物実験と計算モデルを組み合わせ、社会的協力行動の神経基盤に関する研究を紹介しました。榎本和生教授 (IRCN)は栄養状態や社会的経験、情動が脳機能に及ぼす影響について発表しました。長井志江特任教授 (UTokyo) は複数の生理指標を統合して情動状態を予測する予測処理フレームワークを紹介しました。豊泉太郎チームディレクター (理研CBS) は意図的行為と非意図的行為の双方における主体感を統合的に説明するベイズ的心理物理モデルを提案しました。

本シンポジウムでは、両機関の研究者による最先端の研究成果を目の当たりにし、参加者どうしが交流を深める貴重な場を経験を得ました。また、シンガポールにおける研究環境や国際的なネットワークの重要性を再認識するとともに、双方の研究への理解が深められ、今後の共同研究や学術交流のさらなる発展が期待される有意義な取り組みとなったことを実感いたしました。

企画・運営にご尽力いただいた、Victoria Leong、Annabel Chen、 Hong Xu、 Ziwei Liu、 Aditya Nair、Domenico Campolo、George-Rafael Domenikiosの各教授ならびにNTUの皆様に心より感謝申し上げます。
詳細は英語版レポートをご覧ください。

レポート執筆者

(姓のアルファベット順)
Lianxiang Cui, Agnes Gao, 久保匡衛, Tingyu Li, Tzu-Ling Liu, Youtao Lu, 中村優花, 渡邊健太, Zhiyu Zhang



Victoria Leong, NTU EMPOWERセンター長
ヘンシュ貴雄IRCN機構長

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ラボツアー

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ポスターセッション

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