2020年2月16日(日)に、日本科学未来館未来館ホールにて、IRCNと東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)、東京工業大学地球生命研究所(ELSI)による第5回合同一般講演会「起源への問い」が開催しました。 まず認知科学(岡ノ谷一夫IRCN連携研究者)、生物地球化学(中川麻悠子ELSI特任助教)、素粒子論および宇宙論(松本重貴Kavli IPMU主任研究者)、の専門家による講演が行われました。

岡ノ谷教授は動物に心があるかという点について講演しました。脊椎動物はヒトと同じような神経構造を持っていることから、心的機能の基盤は類似していると仮定できる、また鳥類とほ乳類はヒトと同じように情報処理をし、それに付随して意識体験をしている可能性がある、つまり彼らがある種の心を持っていると推測できるとの説明があり、講演に集まった200人以上の参加者はときに感嘆の声を上げながら聞き入っていました。そのほか人工知能に意識が宿るかということについてもふれ、その可能性は否定できないが、そのような人工知能を作るためにかかる時間と費用が問題になるだろうと語りました。また、あくまでも意識は行動の従属変数であり、行動した結果として意識が生じると考えるべきという考えを示しました。
講演後には心と脳についての質問があり、心は脳を含む身体と環境の相互作用にあるものであり、脳は十分条件ではないが必要条件であるという説明がありました。

講演の後は心の哲学の専門家である東京大学大学院総合文化研究科鈴木貴之准教授をモデレーターに迎えて「起源を問うとはどういうことか」をテーマに鼎談を実施しました。起源の探求において限界や難しさはあるのかという議論のなかで、岡ノ谷教授は意識の起源、心の起源といった問題に関しては正解が何かはわからず、他の知見と矛盾しないうシナリオを書くことしかできないことが限界であり、心というものは主観的経験であり客観的に測定することが今のところできないところが難しいという意見を出されました。
今回の一般講演会では前回に続きライブストリーミング配信を行い、50人を超える方々にご参加いただきました。

会場にいらしていただいた皆様、そして配信をご覧いただいた皆様、ありがとうございました。

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