開催日: 2024年12月17日
会 場: ピサ高等師範学校(Scuola Normale Superiore di Pisa)
テーマ: “Roots of Neurodiversity”
概要
イタリア・トスカーナ州に拠点を置くピサ高等師範学校(SNS)にて、ニューロインテリジェンス国際研究機構(IRCN)とSNSの研究交流および国際共同研究の推進を目的としたシンポジウムが開催されました。SNSの築460年以上の歴史を誇るカロヴァーナ宮内の講堂で、ヒトからモデル動物、基礎から臨床まで分野を越えた活発な議論が行われました。
詳細
現地イタリアおよびIRCNの研究代表者が、ニューロダイバーシティに関する最新の研究成果を発表しました。幼児を対象とした発達研究から成人臨床群への介入実験や、げっ歯類や昆虫類を対象とした生理実験など、多種多様な研究分野の発表が行われました。一方で、脳の発達や学習という根本的な問いや、研究に用いる技術・理論面での共通の関心も感じられ、分野や国を超えた今後の連携を期待させるものでした。また、ポスターセッションでは若手研究者を中心に現地の研究者たちと活発な意見交換が行われました。
またシンポジウムの前後には、4つの研究機関を見学しました。CNRでは、最新の脳撮像機器が稼働する臨床の現場や、軽度認知症の方を対象にした集団での知的作業やエクササイズ、そのすぐそばで行われる多彩な基礎研究を見学することができました。SNSでは、当時の騎士団が集まっていた荘厳な建物と、その中で勤勉に学ぶ学生たちの様子が印象的でした。ピサ大学では、歴史的図書を所蔵する施設や睡眠などの研究で知られるMoruzzi先生の書斎などを訪問しました。Scuola Superiore Sant'Annaでは、ロボットや生体センサーなどを活用した多数の工学的研究を紹介いただきました。
今回、ガリレオの時代から科学の一大拠点として知られるピサの訪問を通じて、現地研究者の熱意や研究の多様性に触れることができました。この訪問で築いた研究者同士のつながりを大切にしながら、日本とイタリア双方の神経科学研究の発展に貢献していきたいと考えています。
謝意
本研究会の企画・運営にご尽力いただきましたMichela Fagiolini先生、Tommaso Pizzorusso先生、Michele Emdin先生、Paola Binda先生、Maria Concetta Morrone先生、Eleonora Russo先生、SNSの皆様、CNRの皆様、ピサ大学の皆様、Scuola Superiore Sant'Annaの皆様に心より感謝申し上げます。
レポート執筆者
古澤 孝太郎
橋本 昂之
コウ ヨクエン
ロブチェビック イレナ
村井 翔太



