*この記事は東京大学大学院理学系研究科・理学部のサイトの転載です。
発表概要
東京大学大学院理学系研究科の榎本和生教授と産業技術総合研究所の植松朗主任研究員らによる研究グループは、幼若期の社会的孤立が脳発達と情動処理に及ぼす影響について、マウスを用いて研究しました。
本研究では3〜5週齢 (早期) または5〜7週齢 (後期) の社会的孤立ストレス(SIS)を受けた成体マウス脳を超高磁場のMRI(磁気共鳴画像法)(11.7T MRI)にて脳構造解析をしました。
その結果、雌マウスではSISにより前頭前野や海馬を含む複数の脳領域の体積が増加し、雄マウスでは早期SISで軽微な体積増加、後期SISで一次体性感覚野や視床下部の体積減少が確認されました。拡散強調画像から、雌マウスのSISが脳梁および扁桃体の神経線維と正の相関を示す一方、雄マウスでは相関パターンがSISの時期により変化しました。さらに行動解析の結果、SISを受けた雌マウスは恐怖記憶の汎化が見られました。
本研究から、幼若期における適切な社会的交流の重要性が改めて示され、孤立を防ぐ支援策の強化など、実社会への応用が期待されます。
発表雑誌
雑誌名:Neuro Image
論文タイトル:“Time- and sex-dependent effects of juvenile social isolation on mouse brain morphology”
URL: https://doi.org/10.1016/j.neuroimage.2025.121117