去る7月初旬の2日間、NCCR(スイス連邦研究能力センター; National Centres of Competence in Research)-Synapsy との共催で"22q"ワークショップが開催されました。

NCCR-SynapsyはNCCRがスイス国立科学財団(SNSF)からの助成を受け推進している研究プロジェクトチームのひとつで、ジュネーブ大学、ローザンヌ大学、連邦工科大ローザンヌ校等に拠点を置き、精神疾患の原因となる遺伝子多型やシナプスの異常に関する研究を2010年より進めています。NCCRは日本のWPIに相似した国家研究プロジェクトであり、IRCNとNCCR-Synapsyは2018年に国際連携機関としてのパートナーシップを結びました。

今回のワークショップでは、NCCR-SynapsyのディレクターであるAlexandre Dayer教授をはじめ計5名の主要メンバー、ならびにマサチューセッツ工科大学よりGrouping Feng教授が来学し、IRCNからはヘンシュ貴雄機構長を含む4名とともに、先天的な22番染色体異常に起因する統合失調症(1日目)および、自閉症スペクトラム症候群(2日目)についての講演が行われ、活発な議論が展開されました。

Alexandre Dayer Stefan Eliez 笠井 清登 Alan Carleton 合原 一幸


Marie Schaer Camilla Bellone Guoping Feng 後藤 由季子

近年の研究では、22番染色体(22q)に起こるゲノムコピー数変異(CNV)が原因でもたらされる22q11欠失が統合失調症に、また22q13欠失が自閉症スペクトラム障害の発症に強く関連することが報告されており、22q上のいくつかの遺伝子(SHANK3など)が認知機能に重要であることも分かってきました。このワークショップでは、動物モデルからコホート研究に至る幅広い最新の研究・専門知識の交換を行い、センター間での今後の研究協力体制について話し合われました。国際連携機関とも研究成果を共有することによって、IRCNは様々な共同研究の仕組みを構築してきます。

*詳細につきましては英語ページ、当日のプログラムについてはこちらもご参照ください。

文責: IRCNサイエンスライティングコア 木村昌由美