2022年11月23日(水・祝)、東京大学伊藤国際学術研究センター(伊藤謝恩ホール)において第8回 IRCN・Kavli IPMU・ELSI 合同一般講演会「起源への問い」を来場とオンライン配信のハイブリッド形式で開催しました。
オンライン配信も含めて全国から約460名が参加しました。
                        
                        
【講演】

松村 知岳
東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構
(WPI-Kavli IPMU)准教授
「ビッグバンの前を観る〜宇宙の起源へ〜」
    
玄田 英典
東京工業大学 地球生命研究所
(WPI-ELSI)教授
「宇宙で生命を探す」        
                

杉山(矢崎) 陽子
東京大学 ニューロインテリジェンス国際研究機構
(WPI-IRCN)特任准教授
「聴いて、話して、伝えていく:音声コミュニケーションを支える脳の仕組み」

                        
杉山(矢崎)特任准教授は赤ちゃんが言葉を発しないころから大人が話す言葉を聞き分けており、それに沿って脳神経回路が発達していくこと、そして「声真似」をするキンカチョウの研究を紹介し、神経細胞が歌の中にある空白の間の長さに反応して同じ種の歌だけを学習していることや赤ちゃんもヒナ鳥も映像やスピーカーによる音ではなく実際に関わるコミュニケーションによって言葉や歌を習得していくことを説明しました。 

                        

【パネルディスカッション】
「起源を問うとはどういうことか」
モデレーター 馬場 紀寿 東京大学 東洋文化研究所 教授

                   

「起源を問うとはどういうことか」をテーマとした鼎談で杉山(矢崎)特任准教授は知性の起源を考える上で音声コミュニケーションにおけるヒトがもつ独自性について意見を述べました。
ヒトは複雑な言語コミュニケーションによって自由に文章をつくることができますが、これはヒト特有の能力で、「声真似」をする鳥に比べて遥かに自由度が高くフレキシビリティなコミュニケーションを行っています。また多様な言語が存在し、文化によって違う言語が発達するなど、広がりをもっていることもヒトの特徴であると語りました。
また音声コミュニケーションは受け取る側の感覚器の発達と処理する能力が必要であり、他の生物が行っている音声コミュニケーションをヒトが聞き取ることができないだけで、実際はもっと多くのコミュニケーションが行われている可能性についてもふれました。

最後に来場者とオンラインからの質問に回答し、講演会は盛会のうちに終了しました。