今回で7回目を迎える世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)サイエンスシンポジウム「トランスフォームするサイエンス」が開催されます。
IRCNは他のWPI拠点と共にブース展示を行うとともに、河西春郎主任研究者による講演 - 『脳は運動する!?』があります。

日時: 2018年12月27日 9:30-17:00

場所: 名古屋大学 豊田講堂

*参加申込み方法やプログラム概要など詳しくは 第7回 WPI サイエンスシンポジウム特設サイトをご覧ください。

登壇者:
 
天野浩 名古屋大学未来材料・システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センター センター長・教授(2014年 ノーベル物理学賞)
『トランスフォーマティブエレクトロニクスが築く4S社会』

伊丹健一郎 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)拠点長
『スーパー分子をつくる:無限の可能性と異分野融合のチカラ』


河西春郎 IRCN主任研究者







『脳は運動する!?』

要旨:
我々の心の住みかである脳は、頭蓋骨の中で動かない様に見えます。その中を電気信号が走っているので、計算機と似通ったもののようにも見えます。しかし、脳の様な3次元的に密な計算機をつくれるとしても、おそらく我々の心は作れません。

計算機の記憶素子は固いシリコンでできていて、0,1の状態を半永久に覚えることで機能します。一方、脳の記憶素子は(スパイン)シナプスと呼ばれる構造です。このシナプスは、学習により大きくなり、その運動によって記憶を残しています。この個性的な運動によってシナプスが生成消滅することで、脳では配線の変更すら起こっています。この運動自身に脳の個性が表れていますが、それを固いシリコンでできた計算機で再現することは困難です。我々の心の特異なしくみは、このシナプスの運動なしには語れないのです。

この講演では、脳の中で人知れず運動することで、私たちの心と記憶をつくるシナプスの世界について一緒に考えてみましょう。


松本邦夫 金沢大学ナノ生命科学研究所(NanoLSI)教授
『生体分子のナノ・リアルタイム計測とがんの基礎研究』